BACK



 今日も仕事頑張ろう

 年度末や年度半期の時期って会社員にとっては案外忙しい時期だったりするものです。普段なら何てことなく受けていた用事も仕事の忙しい時に時間の余裕が無いものだから断ると、意外なほど反発を食らったり、逆に自分でも驚くほどぞんざいな対応をしてしまったり、後で気付いて自己嫌悪に陥ったりすることがあります。心の余裕が無いときはロクな事がありません。忙しい時は何かとぎすぎすしてしまいますが、「今は、そういう時なんだ」と自分でちゃんと分かるだけの余裕があれば、実はいつもの自分のペースで物事を進められるのではないかなと思います。忙しさを自分の対応のまずさの言い訳にしているようではけませんよね。
 このSteely Dan の『The Royal Scam』は、彼らのアルバムの中で名盤と言われている、『Aja』や『Gaucho』よりも私は好きです。ジャケットはちょっとダサイかもしれませんが、改めて見ると何とも意味深なデザインではありませんか。昔よく「社会に出ると七人の敵がいて...」などと言いませんでしたか。巨大なビル群から見おろすモンスターを後目に眠りこける男。魑魅魍魎との戦いに男の靴底はすり減り疲れているけれど、実は逞しく生きている....何か良いじゃないですか。このアルバムはSteely Danの5枚目で、すでにグループとしての形態ではなくWalter BeckerDonald Fagenのユニットとしての活動がスタートした最初のアルバムになります。バック・ミュージシャンにはLarry Carlton、Dean Parks、Chuck Rainy、Rick Marotta、Bernard Purdie、Michael McDonald、Tim Schmitなどが参加しています。驚異の精密アレンジにのせたD.Fagenの下手上手ボーカルがたまりません。
 Steely Danって、RockとかJazzとか、そんなジャンルを超えているような気がしてなりません。たぶん世間ではRockに分類しておくのが一番落ち着くのでしょうが、色々なサウンドの要素が溶け合っている、まさにクロスオーバー?、フュージョン?(笑)なボーカル・アルバムです。そこには人を付き放すような無機質な浮遊感みたいなものが漂い、多くの人々の間でストレスたっぷりの日常に暮らす者にとっては、そんな冷たさが逆に心を和ませてくれるような、そんな気がします。このアルバムは、収められている曲すべてにそんな雰囲気を感じさせてくれます。収録曲すべてが好き....、そんなアルバムってそんなにありませんよね。私にとってはそんな1枚です。
 私の場合どうも根が優しいもので(?)、仕事が出来る・出来ないは別として、一緒に仕事する人の中には悪い人はいないと思い込んでいる節があります。ところが実際は自分に気が合う・合あわないも別にしても、やはり世の中には悪い人はいるようです。そんな人達と(別に対決しなくても)一緒に仕事していくのなら、やっぱり優しい人は潰れてしまいます。仕事が出来ないのを優しさを言い訳にしたくはありませんから、逞しく生きていく者が、やっぱり勝つような気がします。自分のために仕事してるのに、仕事のために自分を犠牲にするなんて、死んでもしたくない。そう思います。最近、「頑張って仕事するぞ」という時には、朝必ずこのアルバムを聞いてしまいます。何か戦う勇気みたいなものが出てくるので不思議です。そんな勇気を振り絞らなければ仕事できないなんて、正直言って悲しいのですが.....。そんな時期だってありますよね。あぁ〜本当は雲がポッカリと浮かぶ空を眺めながら、ノンビリ暮らしていたいんですけどね .... (笑)。





 Steely Dan / The Royal Scam (1976年)
 本当は参加ミュージシャンがどうだとか、ユニットとしてのスティーリー・ダンの経歴だとかは、聞いて感じるうえではあまり意味のないことだと思っています。知っていて損はないけれど、知っているだけでは音楽のもつ魅力の半分も楽しめないと断言しましょう。だからともかく聴いてほしいです。このアルバムなども聴いて絶対に損のない、怪しげで魅力タップリのアルバムだと私は思っていますけどね。



BACK