【社会】会社は誰のもの2 「会社は誰のもの」が遂にシリーズ化?(爆)。 表示ラベル詐称事件で消費者の信頼を完全に失った雪印食品が4月末をメドに会社を清算することとなった。売上高1千億円あった上場企業が事件が表面化して僅か数ヶ月で消滅する。収益が急激に悪化する中で外資系食品メーカーのネスレなどと事業提携・資本参加など事業継続の道を探っていた中で、ボケボケの農林族の横槍でその道も閉ざされた末の結果だ。 食品メーカーとしてあるまじき行為に及んだ雪印食品自身の責任はめちゃくちゃ大きい。業界全体が日常的に同様の行為をしているものと思われては困ると、同業者が一斉に反発したのは当然だろう。似たような行為は他にも存在していたけれど...。こんな時にこそ、お上としての農林省?は、消費者が安心して食料品を替えるうに強力なリーダー・シップを取るべきであり、「一つの企業の問題」だなんて高をくくっていたとすれば、役所も同罪である。一部に食品安全監視委員会?なる組織をつくり、公正取引委員会なみの行政指導権力を与えて、不当表示や安全衛生管理を徹底監視するという心有る動きもみえた。 しかし一方で「食料品メーカーは外資と組むのは如何なものか」などと訳の分からぬ横槍を入れておきながら、数千名もの従業員を抱える上場企業崩壊を指を咥えて見ているという失態も演じた。「まさかこんなに早く..」なんてコメントも聞かれて、それこそ他人事。もともと雪印食品は再建させないという方針が農林省の内部にはあったのだろうか。 この雪印食品にしても他のいわゆる大手と言われる企業体は、ほんの数名の役員幹部と大多数の管理職・従業員で構成されている。今回の問題は、一部の心無い幹部の指導の下でほんの数名の関係者が会社の名前を語って行った犯罪行為だ。その煽りを食った大多数の従業員は、まさに天災にあったこどく突然の会社解散に呆然とするだけというのが正直なところだろう。もちろん自分自身も会社の名前で仕事にあたり、取引先、顧客、仕入れ会社などと日常的に付き合っていたわけだけれど、そのほとんどは真摯に業務をこなしていただけに違いない。仮に従業員組合などが、そんな背任行為を指示した人達を告発したら、どうなるのだろうか。そんな訴えは果たして認められるのであろうか。「私達は真面目に仕事をしてきたのに、一部のアホのおかげで生活のベースとしていた会社を潰された」というのは損害賠償の対象となるのであろうか。 これは決して他人事ではない。会社で仕事をしていると、当然、会社の指示で様々な業務にあたろこととなる。中には「本当にこんなことしてい良いの?」なんてこともある。それが顧客を裏切る反社会的な行為であれば告発の対象となるだろう。そこまで大袈裟な話しではないにせよ、様々な選択肢の存在する戦略・戦術において、上司のやり方や方針に疑問をもつ場面は日常的に存在している。こんなことしているようではダメだと会社を飛び出し、独立するなり他の会社に転職するなり、自分の道を探るのも一つの選択だろう。しかし田中真紀子よろしく、日本で政治活動をするのなら自民党でなければダメだと、自分の目指す自民党のあり方を模索するのも一つの選択だと思う。私が愛する雪印に裏切られた...そんな思いで流されている社員の人達のがいるはずだ。社長役員を始めとした幹部には、私企業でありながらそんな人達の生活がかかっているとの社会的な責任感や使命感はあったのだろうか。 そして今回の事態に動かして最も大きな要因でもある顧客離れ。取引先の一斉撤退と消費者の雪印ブランドの不買運動。会社は一部幹部の利益のためだけに存在していない。従業員といういわば身内だけではない。顧客があってこそ適正な利潤を上げることができるという、最も基本的なことが見えなくなっていたことが一番の問題。事が起きた時、その根本的な原因を見誤ると悲惨な結果が待っている...今回の出来事が私達に教えてくれる最も大きな教訓といえよう。 会社は私企業でありながら社会からその存在価値を認められなくなれば決して存在することが出来ない。「雪印食品はいらない」と、社会がシステムとして機能した結果が上場企業を数ヶ月で抹殺したのである。そんな社会のダイナミズムを久し振りに感じられる出来事だったと思う。 |