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【スポーツ】阪神次期監督選びに思うこと

 阪神タイガース野村監督が辞任した。過去3年連続最下位に低迷した成績の責任をとった形だけれど、夫人の不祥事で社会的な活動を剥奪されたということだろう。そんな中で思うこと。

 一つはサッチー問題。かつて南海ホークスのプレイング・マネージャーとして将来が期待されていた中で、身の程知らずのサッチーが現場に口出しをし、チーム内が混乱したのが解任の原因だと聞く。サッチーは講演会で「私の夫は、野球と女のいずれを取るかと問われて私を選んでくれた」と語っている。野村氏は女の前に人間としての選択を誤ったといえるだろう。

 もう一つは次期監督候補選びについての阪神フロントの決定について。野村氏の時もそうだったけれど今回も懲りずに星野仙一 前中日監督を候補として発表して交渉を始めた。正直に言う。恥知らず!。新しい球団を立ち上げて、その監督候補を云々しているのと訳が違う。阪神は巨人とならぶ日本のプロ野球草創期から存在する球団だ。この50年に及ぶ球団経営の中で、中日が育て上げた星野氏に白羽の矢を立てるなんて、どんな神経をしていたらそんな発想が浮かぶのだろうか。野村氏の場合はヤクルト監督として実績をあげたけれど生え抜きの人材ではない。矮小な鎖国的な論理を振りかざす気はないけれど、よりによって他球団の顔を選ぶなんて。阪神ファンは星野氏のアンチ巨人ぶりと闘将のイメージで良しとしているようだけれど、巨人にとっての長嶋氏のような存在の星野氏を選んだことに対してブーイングが聞こえてこないのは、球団も球団だけれどファンもファンだと言わざるをえない。
 他球団の顔だったけれどその指導者としての資質を開花させた星野氏は後継者に山田氏を指名・継承した。出身元のブルーウェーブ(元阪急)は、他球団の顔だったけれど指導者としての能力が未知数の石毛氏を仰木氏の後継に据えた。このように他球団出身の人材を何らか首脳陣に招いているケースは多い。しかしそれは器が違うとは言わないけれど、絶対的なカリスマ性をもつほどの人材を招くような恥知らずな人事ではない。しかし阪神の今回の星野氏招聘は、唖然としか言いようがない。声をかけられた星野氏の困惑振りが伝わってくる。当然だろう。中日育てられ、中日一筋で野球人生をまっとうしてきた彼だけに、まさか他球団から声がかかるとは思いもしなかっただろう。阪神のフロントのゴタゴタは巨人の比ではない。将来を見据えた選手育成や球団経営の指針の無さは巨人を上回る。若手を登用して未知の実力を開花させ、また将来的なチーム方針に合う選手の獲得・育成に注力し、ペナント・レースを戦いながらチームを編成していくという、そんな当然のような経営ができる球団が実に少ない。チームに対して愛情が足りないのかもしれないですね、フロントの方々には...。
 要請を受けた星野氏は、プロ野球全体という大きな視点から受諾するかもしれない。それはそれで星野氏の選択なのだから受け入れるものの、果たして星野氏は阪神に骨を埋める覚悟で就任するだろうか。所詮彼は中日の人。いや、絶対に中日の人。そんな人に愛するチームの命運を預けてよいのでしょうか。また、岡田2軍監督や大物OBの田淵、掛布、など候補がいないわけではない。そんな中で中日の顔に声をかけるフロントはOBからも見放されても仕方ないだろう。今一度、そんな球団幹部の決定をよく見つめ直しなさい、阪神ファンの諸氏よ。申し訳ないけれど、こんな阪神球団の姿勢は巨人以上に醜いと感じてしまう。



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