【社会】90億円の無駄遣い。 先日、東京都下の練馬区にある西武池袋線と目白通りとの立体交差で大工事が行われました。最終電車の通過後、始発電車が走り出すわずか9時間の間で地上の線路と立体交差の道路の位置関係を逆転させるというもの。何故こんな工事を行うこととなったのか。 もともと西武線は都市部を走る私鉄の中でも立体交差が遅れていました。しかも交差する環状7号、環状8号線へと繋がる笹目通り、そしてこの目白通りなど、23区内屈指の交通量を誇る(?)幹線道路と交差していながら、全て道路が上へ下へと避けていく...なんともずうずうしい鉄道でした。ナンだカンだと高架推進に消極的な西武側の対応を待っていれば、鉄道通過にともなう遮断機降下による渋滞解消の対応にならず、仕方なく各所で道路が鉄道を避ける立体工事が進められていました。しかし事ここに至って高架工事をせざるを得なくなって、事前に架けた高架道路と線路の位置を一晩で架け替えるというアクロバット工事を実施しなくてはならなくなったのです。この工事に費やした費用は約90億円だそうです。目白通りの立体工事にかけた費用と架け替え工事、もともと西武線が高架にすれば、いずれも必要のない工事だったはずです。 この工事の様子を伝える新聞やテレビなどの報道では、工事技術の凄さを伝えるのみで、実は壮大な無駄遣いに触れていません。もともと多摩地区に住んでいた私が都内の城北方面へ車で向うとき、いずれのアプローチでも必ずどこかで西武線を超えるための渋滞に巻き込まれ、さんざんイライラしていました。長期的な展望を見据えれば、鉄道は全て高架または地下化して、地上は車や人に譲るのが必然だと思っています。特に都市化が進んだ地域では、民家の間を縫うように走る鉄道は、公共輸送機関の使命を認めたうえで「迷惑」と言いきれるでしょう。そんな迷惑度をいかに軽減するか、または軽減するための努力をするか...そんな姿勢は絶対に必要だと思います。しかし西武線はそれをしてきませんでした。 今回のこの工事の模様が紹介されるにあたって、こんなことを考えてしまうのは私だけではないと思うのですが...。 (2001/03/10) |