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【スポーツ】巨人戦のTV中継視聴率低下について思うこと。

 いよいよ世紀のON対決実現。20世紀の最後を飾るに相応しい、プロ野球界の一大イベントが始まります。今年のジャイアンツは未曾有の大型補強により優勝確実と言われていました。確かに圧倒的な戦力は他チームの戦意すら失わすほどのものでした。ジャイアンツ・ファンにとってはたまらないほどの魅力に溢れた今年のジャイアンツだったにもかかわらず、TV中継の視聴率は90年以降のワースト2だそうです。最も多く巨人戦の中継をしているNTVのスポーツ局の担当者のコメントが10月20日付けの朝日新聞夕刊に紹介されていました。「巨人戦は若者離れしているんです」とのこと。そういう認識をもっていながら、それではNTVはそのために何をしているのでしょうか。

 常々思っているのですが、スポーツ番組はそのスポーツの本当の面白さをどこまで伝えているのだろうかと...。先日たまたま幕張にいた私は、隣接するマリン・スタジアムに久し振りのナイター観戦という機会がありました。そう、今日勝てば優勝が決まるという同所におけるロッテとダイエーの最終戦です。さすがに優勝のかかった試合だけにダイエー応援団の方が数的には多く、ホーム・グランドでの胴上げはさせないとロッテ応援団もいつも以上に熱の入った応援で、スタジアムは大盛り上がり。ゲームも接線で、ロッテの主砲、初芝の勝ち越しホームランで勝負が決まるというもので、とても良いゲームだったと思います。しかしこのゲームを伝えていたのはNHKのBSのみ。しかも淡々と試合経過を伝えるアナウンサーと野球技術論のみを専門用語で語る解説者。画面もバックスクリーンからの打者と投手のかけひき中心、常にボールのみを追うもので、これは他局も同じですが、実際にスタジアムで味わえる鍛えられたプロ・プレイヤー達による壮絶なバトルと応援団の盛りあがりなどは、ほとんど伝わっていないのではないでしょうか。NTVだって他局も同じで、スポーツ中継は、その競技の中味が最も重要な要素ではあるものの、その写し方、伝え方一つでつまらないゲームだって...とは言い過ぎですが(笑)、良いゲームだってつまらなくなっちゃいます。たぶん今晩行われる中継だって、ゲスト解説者や参考映像を織り交ぜた、実際のゲームの面白さを伝えてくれないものになるはずです。これは他の競技の中継も同じで、どうしてどこも同じような芸の無い画面構成なのか、本気でそのスポーツの楽しさを伝えてくれるものはありません。
 今年行われたオリンピック中継にしても、様々な角度からの映像を駆使し、様々な視点から競技者の卓越した技術、精神状態、観客の反応などを伝えていました。中継の良さはリプレイができること。当たり前ですが、実際に観戦しているとそれは不可能です。そんな特性をもっと検討・検証した考え抜かれた画面・映像構成を見せてほしいです。

 若者ばなれが進むと語った担当者は、若者が離れてしまうような番組しか作れなかった自分達を恥じてください。今年の巨人はある意味で魅力的です。にもかかわらず結果をだせなかったのですから。ゲーム展開にしか負えない番組を作っているうちは、たとえどんなチームが出てこようと視聴率のアップは絶対に無理です。視聴率をアップさせたいから人気タレントを呼んで解説させるとか、豪華プレゼントを番組内であげるとか、そんな小手先の手法などとらずに、そのスポーツの魅力がどこにあって、それを伝えるためには何が必要なのかをもっと考えてください。
(2000/10/21)






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