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【スポーツ】松坂交通違反で書類送検 西武のグループ気質露見。

 西武のというより日本プロ野球界の若きエース松坂投手が免停中に球団所有の乗用車を運転したうえに駐車違反をして、広報担当が身代わり出頭していたことが発覚した。五輪日本代表チームのエースとして参加したり、ペナントレースにおいても2年連続最多勝をあげるなど活躍し、このオフでも様々なエキジビション・ゲームや表彰など栄えある場が予定されていたが、今回の件で全ての行事をキャンセルすることとなった。さらに体裁を取り繕うかのように球団も10月13日付けで無期限で全ての野球活動を禁止する処分を課した。
 松坂は8月にスピード違反で免停となっていた。この事実は公表されず内密に厳重注意処分が下される。さらに9月に免停期間中でありながら駐車違反でレッカー移動された。この時の友人宅訪問の様子が写真週刊誌に激写され女性スキャンダルとして話題となり、ひいては今回の事件発覚となったのだ。松坂自身の奢り甘えは厳重に正されるべきであり、弁解の余地は無い。自他ともに認める日本が誇る新世紀のヒーローたる資質の持ち主だけに、できるだけ早い時期の更正を待ちたいところ。しかしここで見逃してはいけないのは、球団の管理責任体制の甘さだろう。
 担当広報の行動は問題だけれども、事実関係を球団に報告しておきながら事実が露呈するまで何ら事実を公表せずに内密に処理していたこと。また敢えて公表しないまでも対応が甘かったことに対して、何ら対応がされていないことはもっと問題だ。過ちを犯したものが処分される。担当者が事実を報告していたにもかかわらず処分が十分でなかった上長の責任問題は何ら対応がみえてこない。これでは全ての責任は当事者におしつけ、本来もっと上位の意思決定を成すべき責任者はそのままなんて、とても納得できない。責任者の責任問題がないがしろにされている処置だ。

 朝日新聞10月14日付けの紙面でこの件について編集委員が興味深い指摘をしている。「フロントは天皇と呼ばれている堤オーナーの顔色をうかがうことに終始し、健全な判断能力を失っているというしかない。」と....。これは球団に限らず「西武」というグループの体質そのものだと断言しよう。もう10年以上も前のことだが、こんなことがあったのを思い出した。私が所沢にあった住宅展示場のPRを担当していた時の出来事だ。西武線所沢駅の電飾看板に空きがでて、そこに看板を掲出したいと申し込みをしたときの西武の看板担当者の返事がいかしていた。「その場所は(駅前にある本社に向う)役員の目に付く場所なので申し込みはお断りする」と。私は憤慨した。その展示場には西武系列の会社も出展していたし、西武池袋線や新宿線にも中吊りやら額面広告などにも相当の費用をかけて広告を掲出していた。にもかかわらず看板掲出を拒否されたのである。若気の至りで契約半ばの額面広告の全面撤退も辞さないと交渉したがラチがあかない。ウソでも何でも(笑)、先に他社から申し込みがあるからと断られたのなら仕方がないと諦めたが、「役員の目につくから」なんて理由を堂々と吐く担当者の気質には呆れた。明らかに判断基準がズレている。今回の新聞での指摘を読んで、「あぁ、いまだに西武は西武なんだな」と思った。たまたま接しただけの私ですら感じだのだから、恒常的に接している方達は、こんな理不尽な気質に悩まされ続けているのだろうとお悔やみを申し上げたい。

 組織は変れど西武は西武。かつての黄金時代を築いたライオンズが、根強くはびこる西武気質に蝕まれているのであれば、黄金時代復活は夢のまた夢。かつての主流派体制側が手にした権力にしがみついて自己保身を図っている組織は疲弊し衰退する。必ず滅びる。外部の血を入れつつ人心を一新しなければ、第2の松坂事件はまた起きるだろう。
(2000/10/14)




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