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【スポーツ】インターネットは報道???

 今日の新聞のスポーツ欄にじつに奇妙な記事がありました。JOCがオリンピックに出場している選手が個人で開設しているホームページでの「日記更新の自粛」を指導したというものです。理由は五輪憲章の「選手はメディア活動をしてはならない」という条項に違反する疑いがあるからだそうです。違反すれば最悪の場合、参加資格を失うこともあるので念のため...というのだが、いかがなものなのでしょうか。IOCとして具体的な指示を出していない中で、JOCが問題が起こる前に対策をこうじたというところだけれど、事なかれ主義の最たるもの...インターネットにおける個人の表現活動を十分に検証・検討したうえでの処置とはとても思えません。

 個人ページの魅力は、決して既存のマスメディアでは流れない稀少見解の発表の場であり、個人の存在証明の一環でもあるということだと私は思っています。人は常にその存在を認めてもらいたいものです。オリンピック選手であれば一生に一度の晴れ舞台、その人の人生のハイライトでもあるはずで、そんな機会が何度もある人なんて少ないと思います。自分の存在証明としても絶好の機会じゃないですか。またその人を応援している人にすれば、競技前や競技直後、さらには大会終了後の心の動きは、めちゃくちゃ興味あるじゃないですか。それを自粛強制するとは...。
 IOCはインターネットで動画や音声で五輪関係の放送を認めていないのだそうです。しかしいくらIOCとはいえ個人のホームページについては明確に禁止していません。当たり前です。個人の活動なのですから。例えば期間中に個人が手紙を書くことを禁止したらどうでしょう。個人が日記をつけることを禁止したらどうでしょう。電話をかけることを禁止したらどうでしょう。そんなバカなことは無いですよね。書きとめる先が紙ならOKで、語る先が電話ならOKで、電子メディアだとNGなのでしょうか。インターネットは不特定多数が閲覧する機会があるので紙と比較するのはおかしいとでも言うのでしょうか。発信側の行為は同じですよ。ホームページに意見をアップすることは報道することと決して同義ではありません。ましてや放送とも絶対に違います。インターネットは確かにメディアです。しかし五輪憲章制定の際には、インターネットを想定したものでは決して無かったはずです。世界中に情報を発信できる個人メディアがこれほどまで普及するなんて、誰も想像できなかったはずですしね。

 IOCが選手のメディア活動を認めていないのは、特定のメディアに対してその報道の権利を売っているからです。莫大な権利料を支払ったメディアに対しての権利保護のために規制しているのであって、個人の言論・表現活動まで天下のIOCとはいえその権利は及ばない...その限界を認識しているはずです。しかしJOCは規制しました。その規制が憲法違反だと告発したらどう対応するつもりなのでしょうか。JOC担当者の本音も記事にはありました。「何とかシドニーを乗りきりたい...」と。何も問題が起こらないで大会が終わればそれで良いとしか読めない発言です。担当者が判断した事項ではないことは100も承知のうえで、何とも情けないとしか言えませんよ。

 確かにインターネットを報道の媒体として利用しているホームページもあります。情報提供を介して収益を得ているものもあります。スポーツ情報をインターネットで配信している情報ページでもありますが、そんなページの中には大会期間中の広告料を無料にしてJOCを刺激しないように配慮したところもあるとか。一体JOCって何様?。オリンピックって世界中の関連機構・団体の最大の収益機会だと理解はできますが、オリンピックの趣旨から外れてませんか?。そんな一部の団体の収益機会のために人生を賭けている選手が哀れになっちゃいます。あなたの人生を、そんな訳の分からないオヤジ達の生活のために費やして良いのですか?。

 インターネットの本質や選手個人の権利や活動を蔑ろにして規制をかけるJOCなんて、時代錯誤も甚だしい死んだ組織と言えましょう。言葉は悪いですが、誰のおかげて給料を貰っていると思っているのでしょうか。ダメ出し100発の出来事です。
(2000/09/09)





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