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【社会】長野にはまだある良心。

 何かと話題になった長野県知事選の余韻が続いている。作家の田中康夫氏が当選したため、腹の虫が納まらない既成体制側の有力者達があがいているのだ。長野県商工会議所連合会の会長で長野県商工会議所会頭でもある仁科氏に、会頭辞任を求める動きがあるとのこと。同連合会の政治団体が落選した池田候補を支持していたにもかかわらず、対立する田中氏支持を理由に政治団体の代表を退いたにもかかわらず、本家商工会議所の会頭も退けとのたまっているというのだ。仁科氏は「個人的に田中氏を支持したい」として政治団体の代表を退いたにもかかわらず、その田中氏が当選したものだから、政治団体としてのメンツが立たないとでもいうのだろうか。
 選挙活動においてあらゆる有力政治団体の支持をとりつけることは必要不可欠だろう。しかし政治団体は単なる圧力団体。自分達に有利な利権保護・政策実現のために存在している。その中に、そんなレベルを超えて、もっと大きな視野で地域の発展を見据えた動きをすることを否定しているようにしか思えない。結果的に田中氏の知事就任がどのような結末になるかは分からないけれど、少なくともこの時に対立候補となった池田氏に託すよりは良い結果が得られるだろうと「個人的に」感じたのなら、それを否定するのはどうなのだろうか。池田陣営からの選挙違反逮捕者のニュースが続々と伝わっている。公務員の違反者も県建設事務所、塩尻市役所などから出ている。長く県副知事という要職にあり、既成体制の有力者との絶大なコネクションをもつ池田氏ならではの選挙戦術といえるが、そんな体制ベッタリの候補を知事にするよりは、政治的な経験は無く、その手腕も未知数ながらも、明日の長野県を純粋に考えてくれる田中氏に託したい......賭けではあるが、そんな気持ちは理解できる。

 県民の総意として選ばれた知事なのだから、既成体制側も一致団結して新しい県政のために協力してほしいなどという綺麗ごとでは済まないだろうし、田中新知事の政策実現に、旧体制の猛烈な反発は想像に難くない。そんな圧力により結果として吉とでるか凶とでるかは分からない。しかし無能な自己保身野郎の脇目もふらぬ横暴は、めちゃくちゃ醜いものだと良識ある者には写るのですよ。
 有力者といわれている人達は気付くと保身と自己利益中心の考え方に陥っていることが多い。その役職の本来使命を蔑ろにする行為がいかに醜いものか分からないのだろうか。結果や実績を積み上げることに奔走すべきなのに、役得だけに執着・執心するバカ者のいかに多いことか。長野にはそんなバカ者を見限ることのできる良識ある有力者がいるということがクローズアップされているように見える。
(2000/10/21)



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