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【社会】尋常じゃない、食品事故多発。


 雪印乳業の大量食中毒事件に端を発し、連日のように食料製品の異常が伝えられています。ポテトチップスの袋の中にトカゲが紛れ込み、袋の中で数週間生きていたというカルビー。ジュースにハエが混入し公にしないでと要請したキリンビバレッジ。せんべいに針が混入した越後製菓。ちゃんぽんにハエが混入した日本水産。食用添加物の重曹にフッ素が混入した東ソー。サンドイッチに蚊やハエが混入したジェイアール西日本フードサービスネット。容器のカケラが混入したプリンを販売した日本ケンタッキー・フライド・チキン。ミートソース缶に製造プラントのボルトが落ちたニチロ。プラスチック片が混入した果実飲料を販売したヤクルト。パンの中に虫が混入した山崎製パン。パイ菓子に生きたアリが混入した不二家。他にもありますが、おいおい一体いくら何でも続き過ぎじゃないか。こうしたメーカーが自主回収したケースが今年だけで何と26件もあるそうです。

 もともと国民生活センターに寄せられていた苦情は年間に数百件もあったらしいです。それでも今年は雪印乳業のように大きな社会問題となり(と言っても、食中毒患者が数千人にも及ぶ...これで問題にならない方がおかしいですが)、業績に大きく影響する事例を目の当たりにして、問題が大きく無くならないうち対処しようという、食品製造メーカーとしてしごく当然の姿勢が、ようやく見られるようになったという、何とも情けない実情に腹がたってなりません。

 【本】でご紹介してるように、現場を知らず、現場を見ず、数字だけで経営を語っている役員が多い会社は、正直その存在は社会にはありません。社会で経済活動をして利益を得るのが会社なら、まず社会に存在する意味がなければ、経済活動以前の問題で存在してはなりません。何らかの社会的な貢献を通じて利益を得る...それが企業です。雪印乳業の件が最も顕著でしたが、社長が現場の製造工程を把握していないばかりか、現場が効率だけを考えて回収品を処分せずに原材料として再利用するなど、食品メーカーとしてはその存在意義さえ疑いたくなるような無謀とも言える愚行を行っていた事実も知らされておらず、典型的な「ボンクラ経営」振りを露呈していましたね。その後の対応も重要で、企業の危機管理のあり方を語る以前に、いかに衛生配慮という食品製造メーカーとしての最低限の仕組みをいかに改善するかもきちっと知らせてほしいです。おっと、「改善」とはより良くするという意味に使うべきで、「是正=正しく改める」という方が正しいでしょうか...。

 誰もが責任を取らない社会...これが今の日本の現状です。企業活動だけでなく政治、行政、教育現場、社会全般にこうした風潮が定着した中で、自分はどう生きる...こりゃ利己主義に走らざるをえないのは仕方がないと思いますが、私はこんな社会は絶対にイヤです。誰かが責任を取るのではなく、自らの責任を自ら果たすように努力する...そんな実は当たり前のことなのですよね、大切なのは。
(2000/08/20)



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