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【社会】コンサートチケット、ネットオークションの功罪。


 真夏の夜の夢...サザンオールスターズの茅ヶ崎凱旋コンサートが堂々開催された。事前の予想に違わず会場は大盛況。チケットを入手できなかった人達を含めて会場の周囲も大変な盛り上がりだったといいます。人気アーティストということだけでなく話題の公演のチケットはまさに高嶺の花、その入手には悲喜交々といったところでしょうが、話題の(?)ネットオークションでも相当の高値が付いたということです。
 このネットオークションは、高いお金をだしてもチケットを入手したいという入手できなかった人の側の理論だけでは成り立っていないような気がしてなりません。一般の人に体裁のよいダフ屋行為の場を提供しているとしか思えません。正規の生業として認められている古物商の免許が無いのに、それと同等の行為を行う場にも思えて仕方がないのです。

 例え免許を持っていたにしても、コンサートチケットの取り扱いについては個人的には釈然としない部分があります。例えば映画の鑑賞券、新幹線の回数券、航空券、商品券、ビール券などは、その発行枚数には基本的には制限がありません。しかしコンサートチケットは公演会場のキャパシティ×公演回数分しかありません。しかも公演日が過ぎてしまえばその本来の価値は失われます。(スポーツ競技の入場券も同様ですが、ここではコンサートについてだけ述べます。)そんなコンサートチケットにプレミア付けて販売価格の何倍もの値段を付けて売る...こんな商売が許されるのでしょうか。コンサート会場近くの路上で公然と繰り広げられるダフ屋行為については、迷惑防止条例に抵触するため売買は禁止されています。これは販売行為について規制しているだけで、チケットの転売そのものは古物商の免許があれば認められているのです。ダフ屋行為はチケットの転売を目的にはしていません。転売で得られる利益を目的としています。古物商も同じ事。目的は利益です。商売だから当たり前です。しかしファンからすればそのような行為は足元を見られているようで悲しいやら情けないやら...。公演を見に行きたいのにケチットが取れなかった。でも街の金券屋にはプレミアの付いた高いチケットが大量に出まわっている。さらにネットオークションでも個人売買で高値が付いている...こんな状況は、耐えられない現実です。先にも述べましたが、コンサートチケットは公演が終了すれば何の価値もありません。逆に公演前に転売先が決まらなかったチケットというか座席は、当然のこととして開演しても空席のままです。その公演を見れなかった人がいるのに...。それが私は許せないんです。
 
 ネットオークションは、そんなチケットを欲しい人に譲るために存在しているとはとても言えません。なぜなら、チケット発売日の午後にオークションにかけられるチケットが出ているからです。これはどう考えても過剰なダブリ入手ないしはオークションでのプレミア目当てのチケット入手以外に理由は考えられないからです。チケットの発売方法をいくら変えても意味はありません。発売されたチケットの2次流通のシステムをきちっとしないかぎり、そういったある種不正なチケット購入は無くならないと思います。不要チケットというか余りチケットは確実に存在します。せっかくチケットを取ったのに仕事の都合で行けなくなった...なんて、よくある話です。また友人同士でチケットを取って、お互いに取れたので必要な枚数以上にチケットがある...これもよく聞く話です。そんな時に、自分達の知り合いの中でさばければ、それはそれで良しとするものの、そういった仲間をもたない者などは、街のチケット屋に売るか、ダフ屋に売るかしか、それ以外にチケットを処理する方法はありません。そうでなければそのチケットはコンサートに行けなかった人の痛恨の記念品と化してしまい、開演中のその座席は来るあてのない観客のために空いたままとなるのです。私は行けないけれど、行きたい、行けるどなたかに譲りたい...でも、そんな場というか機会は、今は無いのです。
 しかしネットオークションという取引所が開設されたのです。しかも人気コンサートであれば莫大なプレミアが付く...。高い値段で売れるのであれば、行けない人が行く人を探すために出品するというよりも、高く売るために出品する...そういう場に趣旨が変るのは必然でしょう。すると利益確保なり良い席狙いなりで何枚チケットが手元に届こうが、美味しくさばけるということが出きるので、そうしたダブリ・チケット入手も、何のリスクも負わずにできるので、そういう意味でもチケット入手がますます過熱することになります。こんな状況は普通じゃないです。

 現在の法律ではチケットを取り扱う(売り買いを行う業者の)側に規制があります。古物商の免許があればチケットを買い取り、代行販売することは認められています。いわゆる街のチケット屋、金券ショップがそれです。ただしこうした業者が、予め販売目的でチケットを購入することは非合法です。都道府県の迷惑防止条例違反に該当するそうです。但し個人からの買取であれば問題はありませんし、販売価格にも限度も無いそうです。。しかし初めからオークションで売却することを目的としてチケットを購入することは迷惑防止条例に抵触する可能性があるとのことですが、実際はオークション・サイトの公共性について見解が分かれているようです。チケット屋での買取価格については実態は知りませんが、実際に流通している枚数を見れば、それほど大量に出まわっているようでも無いので、買取価格は店頭での販売価格に対してそれほどの付加価値があるようには思えません。

 しかしネット・オークションにかかるチケットの枚数は膨大です。よくもまぁ、こんなに出てくるものだと呆れるほどです。ファンが必死になって確保しようと思っているチケット...しかも席の優劣もあるのなら、できるだけたくさん(一旦)確保して、納得のいく座席のチケット以外は手放す...この行為が良いか悪いかの判断は別として、泣く泣く手放すチケットだってあるはずです。そんな行くあてのないチケットをさばく2次流通はしっかりとしたシステムにすべきだと思います。例えば、販売価格から適正な取り扱い手数料を差引いた価格で引き取り、さらには適正な手数料を上乗せして再度販売する...そうした流通システムが確立されれば、例えダフ屋行為やオークションにかかるチケットが無くならないにせよ、かなりのチケットが本当に見たいファンの手元に渡り、無為な空席を埋めてくれるはずです。
 現在ダフ屋行為で生計を立てている方には、別の収益機会を探していただくとして、音楽や演劇などの公演や、スポーツなどの一過性のチケットについては、正規の2次流通システムの早期の確立を望みたいです。プレミア目当ての小遣い稼ぎといった、ファンの風上にもおけない輩を駆逐することは、全ての純粋なファンの願いだと確信しています。




売りたい人と買いたい人、それぞれから手数料を取るのは二重取りと思われるかもしれませんが、本来必要以上のチケットを入手する行為を自粛してほしいということと、チケットを入手できなかった様々な事情...買いに行ったけど買えなかった場合には高いと思われるかもしれませんが、例えば初めから2次流通チケットを買いに行くという、ファンにあるまじき(^^;;)行為に対しての警鐘の意味も込めて、あえて買う側からも手数料を徴収するシステムを考えてみました。チケットを買いに行くにも、いくらか費用はかかりますものね。個人的にはいずれの場合も販売価格の10%以内なら許容範囲かと思いますが、それは人によって考え方は様々でしょう...。
 私なりに考えたチケットの2次流通のシステムの詳細についてはいずれかの機会に述べてみたいと思います。
(2000/08/21)





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